この物語はフィクションです。実在の人物、団体名等とは関係ありません。
の続きです。
スクラム中止宣言が関係者に広まる
その翌日、スクラムチームで打ち合わせをしました。確かこれから開発するアイテムの作業項目の洗い出しを目的とする打ち合わせだったと思います。
打ち合わせは滞りなく進みました。私は終盤に例のwikiについて触れました。昨晩、就業時間の直前に投稿されたせいなのかは不明ですが、私以外はそのwikiに対してあまり反応をしていない様子でした。
おそらく、開発チーム視点では暗黙的なことが明文化されただけなので、あまり大したことではないのだと思います。
けれど、プロダクトオーナーである川上さんの反応は違っていました。彼も存在に気がついていれば、前日に読めていたはずですが、今のタイミングで文章の存在を知った様子でした。
その場では議論には発展せず、彼が課題として持ち帰ることになりました。
それから、しばらく普段通りに開発業務をする日が続きました。会社役員の古谷さんが文章の存在に気がつきました。それもそのはずで、ツールのアカウントを持っていれば、アクセスできる場所に情報は公開されていました。
古谷さんに情報の存在を知られてからは他の社内関係者にも知られることになるのはそれほど時間を要しませんでした。 開発チームがスクラムを中止する方針が広まってから、開発チームで閉じた話ではなくなり、組織として解決すべき問題に発展した気がします。
続く